なぜ、人は甲子園に親近感を感じやすいのか
夏の風物詩の座をすっかり掴んでいる”甲子園・高校野球”。だが以外にも、見ている人は野球のゲームをそこまで詳しく知らなかったり、普段プロ野球を見ている層ではなかったりすることも多い。では、なぜこんなにも甲子園は人々に愛されているのか。甲子園を愛している1ファンとして、考察をしてみた。
◎47都道府県の代表校が出場している
まず最初に思い浮かぶ大きな理由は、これだろう。47都道府県を代表する高校が集っている。正確には、今年は、東京都は学校数が多い為、2校。また、北海道も学校数と学校同士の距離の関係から2校出ている。つまり49校が出場している。こうなってくると、日本人である以上、必ずどこかの都道府県にはゆかりがあるわけであり、自分に関係している都道府県の代表校を応援したくなるような仕組みとなっている。実際、わたくしJINは海外生まれ、海外育ちだが、父母の出身地の高校を応援したり、親友の出身地の高校などを応援することが多い。本格的に応援しないまでも、「あ、今年は東東京頑張っているなあ」などと、故郷を思いやる気持ちでどこか気にしてしまう。
これがプロ野球になると、一気に関係する出身地が絞られてしまう為、プロ野球では応援するチームがなんとなく見つからない、という人たちも、甲子園出場校の中には応援するチームを見つけやすいだろう。
また、他に学生スポーツで人気なものといえば「箱根駅伝」がある。箱根駅伝と夏の甲子園に共通するものとしては、歴史があること、そしてどちらも日本人の多くが休暇を取っている期間(お盆、正月)に行われる為、視聴者が多いこと、などが挙げられる。しかし、箱根駅伝に出場できるチームは大学ごとタイム、という括りであり、必ずしも47都道府県を網羅しているわけではない。ここら辺が、箱根駅伝よりも夏の甲子園のほうが身近に感じやすい一つのポイントではないだろうか。
◎AKB48は甲子園をヒントにした??
ここまで書いたときにふと思い浮かんだのが、上の疑問である。AKBはわたしが高校の時に熱狂的大ブームを日本中に巻き起こしたわけだが、その一つの特徴であるのが、今までのアイドルグループには例をみないほどのメンバー数の多さ、である。例えばだが、僕が幼少期に入れるだろうと思っていたジャニーズグループは、嵐やTOKIO,V6など10人を満たない人数で構成されていることが多い。その為、人気が集中しやすい反面、その数少ないメンバーにお気に入りの人が見つからなかったら、ファンになることはないのかもしれない。その反面、AKB48は少なくとも48名はおり、更には候補生などを入れるとすさまじいほどに大所帯なのである。人の好みは十人十色である以上、それだけ多くのメンバーがいると、自然と自分の応援したくなるメンバーを見つけやすくなる。
さらには、AKB48はHKT(博多)やNMB(難波)、乃木坂、などとエリアごとのグループまで誕生させた。こうなってくると、日本全国を面で攻めながら、数でも攻められるという、超強力なアイドル組織となってくる。こうなれば、より地域密着型かつ大勢の好みを取りこぼさないような、日本全国民に愛されやすいアイドルグループになる。但し、これだけではなく、CDに選挙券をつけた総選挙制度や、単純な実力だけではなく、運で人気者を決めるジャンケン総選挙など、その他にも様々な新進気鋭な策を行ったことが、グループの人気を加速させ、世間の注目を集める材料となったのである。
「都道府県、各校、各選手」の歴史というストーリー性
人々が感情移入をする上で、自然と重要視しているのは、そこにどのような物語があるのか、という点ではないだろうか。”真剣に練習して、実力をつけ、勝ちました!”、という味付けだけではモノ足らず、”エースが怪我で離脱するも1年間のリハビリの上復帰して快進撃!”、”弱小校だけれども創意工夫を凝らした練習と作戦により強豪校を倒したジャイアントキリング!”、といった物語に人々はより感動を覚える。そう、我々は甲子園というテーマのもとに織りなされる無数のストーリーを毎夏探しているのである。これは、なかなか見つからないよ、という人には、甲子園期間中にやっている「熱闘甲子園」という番組の「夏跡」というコーナーを観ることをおススメする。こちらは、負けてしまった高校に注目したコーナーであり、敗戦校の選手たちが背負ってた想いや、選手同士の絆、などに迫った番組であり、アカデミー賞にノミネートされてもよいくらい良番組である。
◎「夏の甲子園、優勝経験がない都道府県」、という一つのストーリー
例えばだが、現在ベスト4まで来ている4校のうち、仙台育英(宮城)、聖光学院(福島)、近江(滋賀)の3校のある県は、過去に夏の甲子園での優勝経験がない。つまり、3/4の確率で、今年の甲子園では初優勝を果たす県が出てくるのである。ちなみにいうと、全国で夏の甲子園の優勝経験がないのは以下の19県である。
青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県、山梨県、新潟県、富山県、石川県、福井県、滋賀県、岡山県、鳥取県、島根県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県
(※春の選抜高校野球で優勝経験がある県はあるが、夏の甲子園での優勝経験はなし)
特に目を引くのが東北地域の6県であろう。東北地区に優勝旗が来たことがないことから、「東北の呪い」、「白河の関が越えられない」などと言われている(白河の関を越えるとは、東北に入るという意味)。こうなってくると、俄然東北の高校を応援したくなるのが人間の性である。我々は、感動の物語や、悲願、初、といったものを応援したいからだ。今まで数多の高校、球児が挑んでも届かなかったその優勝旗に、初めて手が届くのはどの高校なのか。これほどわくわくする展開のストーリーはそうみられない。
◎震災や自然災害といった傷跡からの回復のしるし
47都道府県ごとの歴史としては、自然災害の傷跡も挙げられるのではないだろうか。東日本大震災で大きな被害を被った東北地方、大豪雨に苦しんだ熊本県、、など自然災害に悲しまされてきた歴史のある都道府県は多い。そんな地域の高校が優勝すると、被災地の人々にも元気を与えることが出来る。スポーツは人を感動させられる素晴らしいものであり、人々に元気を与えられるものである。夏の甲子園という舞台で大活躍をして、そのようなアプローチによって被災地の方々に元気を与えられることは、本当に素晴らしいことである。被災によって思うように練習が出来なかった、仲間と離れ離れになってしまった、、、そんな悲しい過去、悔しさをバネにして成長した姿を甲子園という舞台でのびのびと見せてほしい。
今日からの準決勝でどんなドラマが見られるのか、今日も球児たちの活躍を祈って、筆をおきたい。
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